ローヤルゼリーの採取方法
ローヤルゼリーは人工的には合成できないため、蜂に生成を任せることになりますが、一定の量をコンスタントに確保するための採取方法があります。
ローヤルゼリーとはそもそも、女王蜂や、女王蜂になる幼虫に与えられる食料です。
蜂の巣には「王台」という女王蜂の幼虫専用の部屋があります。
女王蜂が幼虫の間は、働き蜂たちが生成したローヤルゼリーをこの王台に注ぎ、どんどんと溜めていきます。
この王台に貯まったローヤルゼリーを集めるのが、人にとって一番効率的な採取方法です。
女王蜂が成虫になると、ローヤルゼリーは口移しで供給されるようになるので、採取は非常に困難になります。
しかし自然の蜂の巣の中には王台は少数しかないため、まとまった量のローヤルゼリーの採取は望めません。
そこで養蜂場などでは、人工的に王台を設置して、王台を増やす方法がとられています。
人工の王台に生まれたばかりの蜂の幼虫を入れ、巣へとセットします。
王台の中に生後間もない幼虫がいることで、働き蜂たちはその幼虫を次の女王候補だと認識し、ローヤルゼリーを与え始めるのです。
元々働き蜂と女王蜂は、体や遺伝子に差があるわけではありません。
女王蜂専用の王台で生まれた幼虫が、ローヤルゼリーを食べることによって、大きな体や長い寿命をもつ女王蜂へと成長していくのです。
つまり働き蜂と女王蜂の生まれた時点での差は、王台で生まれたか生まれていないか。
それだけなのです。
そのため王台に孵化直後の幼虫がいれば、当然将来の女王蜂として扱われるのです。
王台をセットしてから3日で、王台を回収してローヤルゼリーを採取します。
3日以上の時間をかけると、ローヤルゼリーの質が悪くなったり、王台の中で幼虫が糞をして、ゼリーに不純物が混ざる可能性があるからです。
また王台を多く設置しすぎると、上質なローヤルゼリーはできないとされています。
王台の設置数に上限があるうえ、王台や幼虫の設置、王台からローヤルゼリーを取り出すといった一連の作業は全て手作業で行われます。
ローヤルゼリーの採取は、非常に地道で手間のかかる作業なのです。
この工程を踏んでいけば、一定量の採取は可能ですが、ローヤルゼリーの大量生産にまでは結び付いていません。